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うつりゆく時代(15)人工知能AIの事例⑦「工場」その2

 投稿者:二村重博  投稿日:2017年 7月17日(月)08時42分11秒
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   前回は「スマート工場」の具体的な事例を、自動化・無人化、故障や不良品の予知、ビッグデータの活用に分けてみてきましたが、今回はさらに工場内での搬送、工場とは直接関係ないかもしれませんが電力、水量などへの応用、さらに産業用ロボットと半導体市場を見てみようと思います。

 (4) 工場内での搬送
 オムロンは1月に、AIで周囲の状況を見ながら最適な経路を選ぶ「モバイルロボットLD」を開発して3月半ばに草津事業所(滋賀県)に導入しました。草津事業所の基板製造ラインでは毎日250種類の少量多品種生産を担っていますので、「人が盛んに行き交う工場内の通路。幅は1メートル程度で長さは60メートル。1台の自動搬送ロボットがケースを載せてひたすら往復している」(4/3)というロボットと人との協調を可能にしています。
 さらにオムロンは、6月に理研脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)と提携して共同研究拠点を開設し、人の意思や感情をAIが学習して読み取れるようにしようとしています。そして「5年後をメドにこのAIを搭載した生産設備や搬送ロボットを実用化する。製品組み立てなど作業効率を倍に高め、人手不足や新興国の人件費高騰に対応する」(6/1)とのことです。

 (5) 電力
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が東洋エンジニアリングと組んで日本で大型火力発電所の建設に参入します。電力自由化が引き金となり、GEは「世界最大手のガスタービン技術と発電機器をネットで監視して低コストで管理するI o Tの手法を生かす。日本メーカーが独占していた市場の競争の構図が変わりそうだ」(2/3)とのことです。火力発電用の大型ガスタービンの世界シェアは、GEが45%、独シーメンスが29%、三菱日立パワーシステムズが23%でした。(12~14年データ)
 さらにGEは、AIを活用して風力発電の効率的な運営を支援するサービスを日本ではじめます。GEは風力発電機で世界3位。「発電所の過去の気象と風車の運転データを蓄積して相関関係を学習し、1時間先や翌日、1週間先の発電量を予測する。風を受ける羽根の高さなどで風速が異なるため、発電機ごとに予測」(3/11)し、発電量を増やしコストを減らすことを狙っています。
 また丸紅はGEなどのシステムを導入し国内外で運営する発電所を効率化する計画です。「丸紅は日本や欧米、アジアや中東で火力や風力、水力発電所などを運営している。発電能力は中国電力と同規模の1180万キロワット分。そのうち5割の発電所で5年以内にI o Tを導入、その後全発電所に広げる方針。海外の発電所でI o Tシステムを本格導入するのは日本企業で初めて」(4/19)とのことです。
 また三菱重工業は、発電プラント向けガスタービンなどの重電機械事業をI o TやAIを活用して電力コストを削減するシステムを開発し1000億円規模の事業に強化し、GEや独シーメンスなどと競り合うことになります。
 川崎重工業はAIを活用してごみ処理発電プラント向け遠隔監視・自動運転支援システムを開発し20年代に完全無人化を考えています。「ごみは季節や種別、量によって燃焼条件が変わる。これまではベテラン作業員が燃焼画像などを24時間体制で確認しながら運転方法を決めていた。こうした作業をAIで代替することで人件費を抑えられる」(6/9)とのこと。
 東京電力系の東京電力パワーグリッドと大和ハウス傘下の大和リビングマネジメントは、I o Tを活用した電力管理システムの開発から節電を可能にするシステムを考案し、2018年度の実用化を目指すということです。

 (6) 水量
 三菱商事と水処理大手の水ing(東京、港)はAIで浄水場の排水量を予測するシステムの開発に乗り出しました。「天候と水の需要量の相関関係を分析し、水を余分に浄化することを防ぐ。2018年度の導入を目指す」(6/27)というもので、浄水場の運転コストを1割減らせるとみています。これは広島市の白ケ瀬浄水場を使って、広島県と共同で開発を進めるとのことです。
 また、京セラやKDDIはI o Tを使って、水道の自動検針を日本で初めて商用化するとのことです。通信システムの構築は京セラコミュニケ―ションシステム(京都市)が、通信はKDDIが、水道メーターの作成はアズビル金門(東京・豊島)が、検針業務は第一環境(東京・港)が担当し、将来は検針作業の無人化を目指しています。「低コストの通信が実現したため実用化のメドがたった。将来はほぼリアルタイムで水の使用量が把握できるようにもなる。水道管や設備の老朽化や故障による漏水も即座に把握できるようになるほか、独居老人の見守りなどのサービスへの応用も可能だ」(7/10)というもので、水道利用量の減少のなか水道料金の値上げを防ぐためには、検針業務のIT化が求められています。

 (7) 産業用ロボットと半導体市場
 I o Tの普及や人手不足は、産業用ロボットの需要や半導体の需要を高めてきました。ここでは、この二つの市場について見ておきます。
 ○ 産業用ロボットの生産
 特に産業用ロボットについては、本シリーズの6月25日に、(4)中国のIT企業とその動き 中国の産業用ロボット「爆買い」需要、で取り上げたように、中国が産業用ロボットの生産を引っ張っています。そこでは川崎重工業、不二越、安川電機、ナブテスコについて触れましたが、ここではそれ以外の企業の記事について見てみます。
 三菱電機は20億円程度を投資して、「常熟工場(江蘇省)に新棟を建て、工作機械に使うモーターや数値制御(NC)装置の生産能力を2倍にする」(1/19)ということです。
 ファナックは、約630億円を投じて茨城県筑西市に産業用ロボットの新工場を建設し、2018年8月に月2千台を生産するとのこと。「新工場の稼働で、同社全体の月産能力をまず現在の1.5倍となる9千台まで引き上げる。新工場は需要をみながら増強し、最終的には同4千台まで引き上げる。全体では同1万1千台まで拡大する予定」(4/28)とのことです。
 日本電産は、40億円を投じて、子会社の日本電産シンポ(京都府長岡京市)の工場でロボットの関節の基幹部品である減速機の生産設備を増加させて、生産能力を7倍に増やすとのこと。「減速機は多関節ロボットの腕を動かすモーターを制御し、力を生むための基幹部品。ハーモニック・ドライブ・システムズやナブテスコが先行するが、日本電産シンポは15年に参入していた」(6/3)とのことです。
 ○ 半導体の需要
 I o Tの普及でデータ通信量が増え半導体の需要が増加しています。半導体製造装置大手6社(東京エレクトロン、日立ハイテクノロジーズ、SCREENホールディングス、ディスコ、日立国際電気、アドテスト)の16年10~12月期では5社が最終損益を改善させ需要の伸びの恩恵を受けていますが、「一方、装置業界には『メモリーの活況は17年内にいったん終息する可能性がある』(アドバンテストの吉田芳明社長)との警戒もある」(2/7)ようで、需要拡大がいつまで続くかの予測も重要になってきます。
 半導体製造装置の米業界団体SEMIによると、2017年の世界の半導体製造装置の販売額は、前年比19.8%増で過去最高になり、18年度はさらに8%増え、500億ドルを超える見通しだとのこと。国・地域別では、「メモリー2強を擁する韓国が17年、前年比7割増の129億ドルと伸び、初めて最大市場となる見通し。台湾も受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の最先端投資で100億ドル超の販売が続く」(7/13)ということで、半導体投資は韓国・台湾・中国で世界の65%を占めています。特に中国は精華大学系の紫光集団などが母体となっている会社が中国政府の2兆円規模の支援を受けて世界最大級のメモリー工場を建設するので、18年には台湾を抜いて第2位になるだろうとのことです。一方日本の場合は、「00年代まで上位だった日本は世界全体の10%程度の規模に縮小。めぼしい投資案件は東芝の四日市工場(三重県四日市市)以外になく、市場としての存在感は薄れた」(7/13)という状況です。

 
 
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