teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]


スレッド一覧

  1. 二紫会経済学(1)
スレッド一覧(全1)  他のスレッドを探す 

*掲示板をお持ちでない方へ、まずは掲示板を作成しましょう。無料掲示板作成

新着順:44/3044 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

うつりゆく時代(12)人工知能AIの事例④「業界」その1

 投稿者:二村重博  投稿日:2017年 6月17日(土)16時01分5秒
  通報 返信・引用 編集済
   すでにふれたように、現代は第4次産業革命の時代とも呼ばれています。つまり、18世紀後半から蒸気機関などで機械化が進み第1次産業革命の時代が始まりました。18世紀中ごろになりますと電力の時代になり第2次産業革命と言われています。そして、2000年ごろになるとインターネットが登場し第3次産業革命の時代に入りましたが、ネットにつながるのはパソコンやスマホなどの情報機器だけに限られていました。ところが現在は、家電や車、衣服等あらゆるものがネットにつながる I o T (Internet of Things、モノのインターネット)の時代になり、第4次産業革命と呼ばれています。すでに見たように、この情報技術 ITの進歩は人工知能AIの進化に支えられ、経済や社会の仕組みを変えて新しい時代をもたらそうとしています。

 これまで、AIを中心とする先端技術がどのように利用されているかの事例を、農業、小売業、衣料、医療・介護、自動車、交通という分野で見てきましたが、ここでは、このI o T を中心とする新時代を支えていると思われる企業の動向と、これまで「成長のエンジン」とみなされてきた製造業の工場にどのような変化があるのかという視点からとらえてみようと思います。今回も、今年の初めから昨日(6月16日)までの日経の記事の見出しでAI、I o T、ITの用語がある記事を取り出し、その中から「業界」(I o T に直接関係する企業という意味で、とりあえずのここだけの呼称としておきます)と工場に分けて関係する記事をまとめてみます。

 【業界】
 まず、全体を概観し、そのあと個別企業の取り組みと各国別の動向を見てみます。
 (1) 概観
 この分野で重要なのがセンサーなどで集めたデータをクラウド空間で保存し分析する「プラットフォーム(基盤)」です。当然、米GEや独シーメンスなどが参入してきました。「I o T基盤はタービンや工作機械といったハードのOT(運用技術)とITを結びつけ、導入企業の業務改善につなげる」(1/6)というもので、世界で200以上あるとされているようですが、リードするのはOTとITの両方の技術をもつ大手製造業です。日立製作所も昨年5月にI o T基盤「ルマーダ」を立ち上げて追いかけています。
 野村総合研究所によれば、国内I o T市場は、15年の5200億円から20年には1兆9400億円、22年には3兆2000億円に拡大すると予測されています。半導体市場は需要不足と供給過剰のため価格が下落していましたが、このようなI o T市場拡大のため再び需要が伸びてきて半導体製造装置大手6社の来期3月の予想も6社中3社が経常最高益を見込む、(5/11)ということです。

 (2) 日本のIT企業とその動き
  ○ 5G通信への動き
 5G通信とは、次世代の超高速無線通信「第5世代」のことで、2023年には全国で利用できるということです。このため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社は20年に5Gの利用を一部で開始し、3社の総投資額は5兆円と言われています(6/7)。「5Gは現行の4Gと比べ実効速度が最大100倍程度になる」(6/7)ので、自動運転の場合により高性能な自動運転が期待できる、遠隔医療などの可能性が高まる、スポーツ中継などでは見たい視点からの中継を楽しむ、産業分野ではI o Tの加速化、インフラの遠隔管理など、これまで以上の用途の拡大が期待できます。
  ○ I o Tデータの売買市場
 オムロンなど日本企業100社がI o Tで蓄積したデータを売買できるような流通市場を2020年にも創設するということです。日立製作所、NTT、東京電力パワーグリッド、新日鉄住金ソリューションズなども参加を検討しています。「センサーなどネットにつながる製品は20年に世界で500億台に増える見通し。日本はI o T技術の中核となるセンサーで世界シェアの約4割を占める。ハードに加えて、I o Tで生まれるビッグデータ流通システムでも欧米勢に先行する」(5/23)ので、膨大なI o Tのデータを利用できれば新たなビジネスチャンスが生まれることが期待できます。
  ○ 対話型ロボット事業
 ソフトバンクは15年6月に「ペッパー」を発売、日立は16年4月に「エミュー3」を開発し18年度の実用化を目指す、シャープは16年5月に「ロボホン」を発売、パナソニックは卓上ロボットを開発したが商品化は未定、というような状況の中で、富士通が新たに対話型ロボットの市場に参入し、10月には企業や自治体向けに出荷、2020年度には売上高300億円を目指している(5/16)、とのことです。
 富士通は、基礎技術を持つ理化学研究所と共同して理研のAI研究拠点である革新知能統合研究センター(AIP、東京・中央)に共同研究組織を設置します。「『暗記』が得意な現在のAIと異なり、いわば、『ひらめき』で勝負するAIの実現を目指す。米国勢が先行するAI研究の勢力図を塗り替える成果を出したい考えだ」(3/4)ということで、成功を祈りたいものです。
  ○ 孫正義氏の「野望」
 最近のソフトバンクグループの動きには注目するものがありますので、日経のソフトバンクに関する記事を追ってみました。
 孫氏は、「地球は一つのコンピューターになる。その時に何ができる?」、「地球全体をネットワーク化する」という壮大な「地球コンピューター構想」(3/16)のもとで、昨年、イギリスの半導体設計アーム・ホールディングスを3兆3千億円投じて買収しました。孫氏の狙いは、「国ごとに分かれた地域限定ではなく、地球全体に行き渡る通信とモノの頭脳である半導体を握る。モノがネットとつながる社会の根幹をおさえることが、孫氏が描くI o T戦略だ」(3/16)ということになります。
 このような戦略のもとソフトバンクは、タクシー配車とライドシェア(相乗り)サービスで中国首位の滴滴出行に出資しました。滴滴出行は4月28日に55億ドル(約6千億円)の資金調達をすると発表しましたが、ソフトバンクグループが最も多いとされ、ソフトバンクが将来を見据えて中国に布石を打ったことになります。さらにソフトバンクは、「アンドロイド」の開発者であるアンディ・ルービン氏が運営するハードウェア開発支援ファンドに数100億円の出資をしています。人工知能AIやロボットの分野で新商品の開発を加速させることが狙いのようです。
 また、5月20日はサウジアラビアなどと共同で10兆円規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を発足させたと発表しました。投資先は大企業ではなくIT(情報技術)関連のベンチャーとのこと。「世界のベンチャーキャピタルの総額を上回る巨大ファンドの出現は、米西海岸シリコンバレーが主導してきたハイテク産業の世界地図を塗り替える可能性を秘める」(5/21)という巨大ハイテク企業連合を作る狙いを持っています。さらに、これはトランプ大統領のサウジ訪問に合わせてサウジ政府と合意したという演出まで付いています。しかし、ソフトバンクはこの新ファンドを自社の連結対象に加えているので、一歩間違えば巨額の損失も覚悟しなければならないリスクもあります。
 ソフトバンクは、この10兆円資金を利用して米半導体大手のエヌビディアの株式を取得しました。「エヌビディアは画像処理用半導体(GPU)の大手。車載カメラやレーダーなどのクルマの『目』がとらえた膨大な画像のデータを処理する技術に優れる」(5/25)ので、これも孫氏の将来に対する布石とも言えるかもしれません。
 また、ソフトバンクはブラジルの配車サービス最大手の99に1億ドル(約112億円)を出資しました。「今回の出資はソフトバンクによる米ウーバーテクノロジーズへの対抗軸形成という見方もできそうだ」(5/25)ということで、世界70カ国以上で事業を展開しているウーバーとの競争も激しくなりそうです。
 さらにソフトバンクはロボット開発ベンチャーのプレンゴアロボティックス(大阪市、赤沢社長)とAIと連動する「AIスピーカー」で提携しました。ブレンゴアが開発した箱型スピーカー「プレンキューブ」にソフトバンクのAIを搭載し年内に発売するとのことです。AIスピーカーは米アマゾン・ドット・コムが2014年に発売したもので、日本の企業もアメリカを追いかける形で参入を計画しています。
 ソフトバンクグループは、米グーグルの持ち株会社アルファベットの傘下にあるロボット開発ベンチャーの米ボストン・ダイナミクスとSCHAFT(シャフト)を買収することになりました。両社は2足歩行などロボットを動かす制御技術に優れているとのことです。ソフトバンクは15年にペッパーでロボット分野に参入しましたが、ペッパーは手や首が動いても2足歩行ができません。それを補う技術を手に入れたことになります。「通信が本業のソフトバンクがロボットに力を入れる背景には、孫正義社長の超長期の戦略がある。孫社長はAIが人類の知恵の総和を超える『シンギュラリティー』があと20年ほどで来ると予測する。そうなれば『あらゆる産業が再定義される』が、最も変化が大きいと見るのが人間による単純労働の現場だ。『今後30年ほどでブルーカラーはメタルカラーに置き換わる。つまり、スマートロボットが社会を変える』と話す」(6/10)ということで、これも孫氏の大きな構想の野心のもとにあるのかもしれません。
 
 
》記事一覧表示

新着順:44/3044 《前のページ | 次のページ》
/3044